F1日本グランプリが始まりましたね。

F1を見ていてこんな疑問を持ったことありませんか?

それは「ピットインの回数を減らした方がタイムロスが少ないのに、なぜみんなピットインするの?」ってことです。

本日はF1観戦初心者の方を対象にピットインの回数とトータルタイムの関係についてお話ししますよ。

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F1はピットイン回数を減らしてもタイムは早くならない!

F1レースはピットインの回数を減らしてもあまりタイムが減らないことをご存知ですか?

最近のF1ではピットインの回数は1ストップか2ストップです。

1ストップと言うのは全周回の内、1回だけピットインするもので、2ストップとは2回ピットインする作戦です。

初心者が考えるとピットインの回数の少ないほうが、タイムロスが少ない分、有利だと考えてしまいます。

ところが、実はそうとも言い切れないんですよ。

1度のピット作業で30秒ほどのタイムロスに繋がります。

30秒を取り返そうとすれば1周3秒短縮しても10周かかります。

しかも前にマシンがいたらそれも追い越さなければなりません。

追い越すのにも当然リスクが伴いますので、できればピットインは避けたいと思うのではないかと考えてしまいます。

ところが実はピットインしたほうが有利な場合もたくさんあるんですよ。

その主な要因は次の点です。

・タイヤのグリップ力が上がりスピードが速くなる



タイヤにも色々な種類がありますので一概には言えないんですが、同じタイヤで考えてみた場合、タイヤが摩耗してくるとスピードが遅くなるんです。

消耗したタイヤでは1周で3秒は遅くなります。

ということは摩耗したタイヤで10周走るよりも新しいタイヤに交換したほうが速く走れる可能性があると言うことです。

これはF1の全てのコースに共通して言えることです。

しかし、これは前後に他のマシンがいない、1台だけでコースを自由に走った場合の事であって、実際には他のマシンが前後にいるわけですからそう理論通りには行かないんですね。

そこで各チーム色々な作戦を練るわけです。

1ストップで終盤の遅いのをなんとか持たせて上位入賞を目指すチーム。

2ストップで速く走って上位を目指すチーム。

一応前方からスタートするマシンは2ストップが有利で、後方からスタートするマシンは1ストップで作戦を立てる傾向にあります。

昔は途中給油が可能でしたから、積載燃料を少なくして軽くして走るとスピードが上がり有利だった時代もありました。

そんな時代は抜きにくいコースで4ストップしても優勝したりしていました。

現在は途中給油が禁止されているので、軽くして走るという作戦は取れません。

決勝レースは良いポジションでゴールさせるために、各チームあらかじめペースを計算してレースに臨みます。

そして1ストップで行くのか、それとも2ストップするのかを決めて臨みます。

そしてドライバーもその作戦に基づいてペース配分をしながら走ります。

当然タイヤも計画に基づいて変えます。

そして複数回のピットインが有効と判断した場合に2ストップ、3ストップの作戦を取るわけです。

あとは実際に走ってみて他のチームの状況を見ながら、臨機応変に変えていています。

元々は1ストップの予定で作戦を立てていたのに2ストップに変更したり、逆にピットインの回数を減らしたりもできる訳ですね。

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F1のピットインによるロスタイムはどれくらい?

では1回のピットインによるロスタイムは一体どれくらいなんでしょうか?

ピットインによるタイムロスは全体で30秒ほどです。

ピットに入らないでそのまま走った場合に比べて30秒遅くなるということです。

まず本線からピットレーンに入ると速度を落とさなければなりません。

ピットに入ると制限速度が決まっているからです。

普通のF1のレースの場合、ピットレーンは時速80km以下に制限されています。

一部60km以下のコースもあります。

この速度制限は厳しく取締まられています。

違反すればペナルティがあるので、みんなキチンと守っています。

このようにピットレーンに入ってから速度を落とさなければならないので、ピットに到着して作業開始までに大幅にタイムロスがあります。

そしてピットに入ると前後でジャッキアップ(車体を持ち上げること)してタイヤを交換します。

これがいわゆるピットでのタイヤ交換の作業時間です。

【 タイヤ交換の時間 】

このタイヤ交換の時間、一体どれくらいかご存知ですか?

だいたい3秒なんです!

え~っ! 凄い早い~!

ですよね!

【 タイヤ交換の人数 】

タイヤの交換作業は次の3人です。

①レンチでホイールナットを抜く人

②古いタイヤを抜く人

③新しいタイヤをセットする人

そして最初の①の人がホイールナットを締めて合図を送ります。

この3人の連係プレーによってあっと言う間に交換が完了します。

1本のタイヤに付き3人です。

タイヤは全部で4本ありますから、合計12人でタイヤの交換をやってしまうんです。

【 ホイールナットは1本で繋がれている 】

しかもタイヤはホイールナットが1本しかないんです。

私は子どものころ、F1のマシンは普通の車と同じように5本のナットで組まれているのだと思っていました。

ところがレンチ(もちろん電動レンチ)の大きさが異常に小さいのに気付き、ホイールナットが1本しかないのに気付きました。

その時の驚きを今でも忘れません。

それにしても3秒とは早すぎませんか?

私が子どものころは5秒くらいありました。

【 タイヤ交換が早くなった理由 】

タイヤ交換がこれほどまで早くなったのには理由があります。

それはピットイン時における給油作業がなくなったことです。

昔はピットインのタイヤ交換の時に給油も行なっていました。

それが2010年からレース途中での給油が禁止されました。

F1の給油は機械で圧縮して送り込むことは禁止されています。

なのでどうしても時間が掛かります。

どんなに急いでも給油に5~6秒は掛かっていました。

そのため、タイヤ交換もそれほど急ぐ必要はなかったんです。

ところが給油が禁止されてからはタイヤ交換の時間を短くすればするほどピットから早く抜けられるようになり、タイヤ交換の時間が急激に短縮されるようになったんです。

今ではさらに短縮され2.3秒とか2.2秒の世界です。

タイヤ交換は3秒!



昔のF1は何度もピットインしていた!

昔のF1は何度もピットインしていました。

特に途中給油が認められていた時代は、燃料をなるべく少なくして車体を軽くして走っていました。

軽い車体で走った方が、スピードが出るからです。

その影響でピットインの回数も多かったんです。

またピットインの回数は天気にも影響されます。

雨が降るとレインタイヤに履き替えなければならないからです。

過去のレースで最もピットインの回数の多かったのは1993年のヨーロッパグランプリです。

ウィリアムズ・ルノーチームのアラン・プロストは7回、そしてデイモン・ヒルが6回、二人合わせて13回もピットインしました。

この時のレースは雨が降ったり止んだりを繰り返して何度もタイヤを交換しなければならなかったからです。

他のチームも何度もピットインを繰り返してとても大変なレースだったんです。

これがピットインの最も多かった記録です。

ところで2010年からレース中の給油が禁止されたって言いましたが、なぜ禁止されたんだと思いますか?

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

F1給油禁止の理由はこれ!給油中の事故はある?ガス欠しない?

まとめ

本日は「ピットインの回数を減らしても必ずしもタイムは早くならない!」ということについてお話ししました。

これはタイヤが消耗している状況ではスピードが遅くなるからでしたね。

ピットインして良い状態のタイヤで走るか、ピットインの回数を少なくしてタイヤを温存しながらタイムを稼ぐのか、これらはチームの戦略の一つです。

また現在のピットでのタイヤ交換のスピードは2秒という驚異的なスピードでした。

ピットクルーが一糸乱れぬ早業で、タイヤ交換をする様子をぜひご覧になってくださいね。

そんなことに注目しているともっとF1レースが楽しくなりますよ。

参考にしてください。

その他、鈴鹿サーキットやF1に関する情報はこちらにまとめています。

F1日本グランプリ鈴鹿サーキットの楽しみ方はこれ!

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