今年も高校野球が熱いですね!

あなたのお気に入りのチームは頑張っていますか?

ところで甲子園球場で演奏されている応援団の曲は著作権の問題をどのようにクリアしているのか、ご存知ですか?

カラオケは著作権使用料を支払っているのをご存知だと思いますが、高校野球の場合はどうなんでしょうか?

本日は甲子園での野球大会の応援歌に関する著作権についてお話ししますね。

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高校野球の応援歌に著作権は引っ掛からないの?

最近、高校野球の人気がとても高まっていますね。

ウチの子どもたちも夏の甲子園大会、春の甲子園大会をとても楽しみにしています。

テレビを見終わると必ず野球ごっこが始まりますからテレビの影響は大きいですよね。

ところで各校の応援団が応援歌を演奏しています。

「サウスポー」、「狙い撃ち」、「あまちゃん」、「海のトリトン」などです。

中にはごく最近の新しい曲もありますよね。

それって著作権に引っ掛からないんでしょうか?

結論から申し上げますと、特に問題ありません。

と言うのも、それぞれの関係者が著作権の問題をクリアしていて問題にならないようにしているからです。

甲子園の応援の曲は著作権に引っ掛からないのではなくて、実は「著作権をクリアしている」からなんですよ。

応援で使用する楽曲は著作物の一つですから当然著作権があります。

なので著作権の制約を受けない「著作権フリー」と言うことではありません。

ではどうやって著作権をクリアしているのでしょうか?

一つ一つ見て行きたいと思います。

まず問題となるのが次の点です。

・応援団がJ-POPなどの楽曲を演奏することは著作権の侵害には当らないのか?

高校野球の応援団がアルプススタンドで楽曲を演奏しますが、使っている楽曲は比較的新しいものが多いですよね。

著作権は権利者の没後50年で切れますから、最近の楽曲ならば当然引っ掛かってきます。

ではブラスバンドは楽曲の著作権料を払っているのでしょうか?

実はブラスバンドは演奏用の楽譜を購入することで既に著作権者への使用料が支払われているんです。

ブラスバンドで使用している楽譜はJASRAC(著作権協会)許諾済みの市販のものだからです。

なのでブラスバンドが楽曲を使用することに問題はないんです。

じゃあ、コピーはダメなの?

これはまた別の問題を含んでいますのでまた別の機会に譲ります。

視点を変えて別の解釈から考えてみます。

著作権法の38条に例外規定という項目があります。

「無料・無報酬・非営利」ならば著作権の侵害に当らないとするものです。

応援団の演奏は聴衆から料金を徴収していないし、団員達も演奏を無報酬で行なっております。

しかも楽曲の使用目的は営利目的ではなくてあくまでも応援です。

よって著作権の侵害にあたらないとする解釈です。

なので高校野球の応援団の演奏は著作権を侵害していないとも解釈出来るんですね。

まとめると次の2点です。

・正規の市販のバンドスコアを使っている限り、応援団の演奏は著作権者に使用料を支払っている。

・応援団の演奏は「無料・無報酬・非営利」著作権を侵害していない。



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甲子園球場が応援曲に対する著作権使用料を支払っているの?

でも次なる疑問が湧いてきませんか?

球場は入場料を徴収しているじゃないか!

なるほど、そんな疑問も出てきますよね。

第38条の例外規定は「無料・無報酬・非営利」ですが、球場がボランティアで行なっているとは考えにくいですよね。

球場スタッフには賃金を支払っていますし。

でも高校野球の入場料はプロ野球に比べて高くありません。

阪神甲子園球場のプロ野球の料金は大人1,700円~4,500円です。

一方高校野球の夏の甲子園大会の料金は大人500円~2,800円とかなり低いです。

外野席は以前無料でした。

2019年から外野席も有料化されましたが、それは収益を上げるためではなく、観客の混雑を縮小させるためと、警備費など大会運営の費用が増大していることが主な理由です。

甲子園球場がプロ野球と同じ程度の入場料を徴収していれば「営利目的」ということも出来ますが、半額以下の料金ですからボランティアに近いです。

別の角度から見てみます。

ジャスラック(JASRAC:著作権協会)は基本的にアマチュア素人や任意団体とは契約を行いません。

著作権は商業施設運営事業者と著作権年間契約(1年間使い放題)を締結します。

なので甲子園球場も運営費の中から著作権使用料を一括で支払っているんです。

甲子園球場は高校野球以外にもプロ野球の試合やコンサートなど多くの営利目的のイベントを行なっているからです。

著作権使用料は1曲1曲を個別に支払っているのではなく、施設の規模や使用頻度に応じて総合的にその価格が決められているんです。

なのでこの観点からも甲子園球場は著作権をクリアしているんです。

・高校野球の球場運営費が限りなく無報酬に近い。

・球場は年間で一括して著作権使用料を支払っている。



放送局は応援歌の著作権使用料をどうしている?

「じぁあ、放送局はどうなのよ?」

なるほど、そんな疑問の湧きますよね。

これも球場と同じです。

NHKも民放も一括して著作権使用料を支払っています。

それで問題にならないんですね。

も一つの側面としては著作権法30条の二の規定が上げられます。

これはテレビ等の放送で応援演奏が流れることについては、「付随対象著作物の利用。意図せず録画・録音等に入り込んだ著作物については、著作権の行使が制限される」というものです。

放送は試合の放映が主たる目的であり、応援団の曲は「その中に意図せず入り込んだ著作物」と解釈できるからです。

なので放送局も著作権の問題をクリアしています。

・放送局は年間で一括して著作権使用料を支払っている。

・応援団の応援歌は「意図せず録画・録音等に入り込んだ付随対象著作物」であるから。



著作権の取扱いが厳密すぎると曲が広まっていかない!

著作権は著作権を持つ者が「著作権を侵害された!」と訴えた場合にその権利を行使して演奏の差し止めや損害賠償を請求することの出来る権利です。

その本来の目的は著作権者、つまり作曲者や演奏家を守ることです。

ところがあまりにも厳しくこれを行なうとその著作物が広まっていかないんです。

ある程度緩く解釈しないと、せっかくの良い作品が広まっていかなくなってしまうんです。

甲子園の応援で流れた曲が「これ何ていう曲なの?」と口コミで広がっていく部分があると言うことです。

今の子ども達が40年前のピンクレディーの「UFO」を知っているのは、この甲子園の応援歌の影響ですね。

今年も応援歌に乗せて新しい素敵な曲が広まっていくのかも知れません。

まとめ

本日は甲子園の応援で演奏される曲の著作権がどうなっていのかについてお話ししました。

ほとんどが著作権の条件をクリアしているんでしたね。

法律の解釈にはいくつもの考え方があって、どれが真実でどれが間違えているとは白黒つけ難いものが多いです。

なのでこの解釈も時代と共に変化していく可能性はあります。

参考にしてください。

その他、高校野球に関する記事をこちらにまとめています。

甲子園球場の高校野球の応援に行く時の素朴な疑問を集めました。

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