大相撲で盛り上がっていますね。
とくに制限時間いっぱいになると会場全体が沸きます。
ところで力士や行司さんはどうやって制限時間を知るのでしょうか?
どこかに時計でもあるのでしょうか?
本日は大相撲の制限時間を力士がどうやって確認するのかについてお話ししますね。
大相撲の制限時間いっぱいには何か合図があるの?
相撲を見ていると疑問に思うことがいろいろとあります。
その一つが制限時間ですね。
私も子どものころは仕切り直しの回数が決められているのだと思っていました。
ところが実は正確に時間を計測して取り組みを行なっているんですよ。
正式には大相撲の制限時間の計測は次の方法で行なわれています。
【 制限時間を計る審判 】
大相撲では土俵の下に5人の勝負審判が座っています。
そのうち向正面左手にいる審判が「時計係」の役目を担っています。
吊り天井の四隅から色の付いた房が垂れ下がっています。
房の色は赤房、白房、青房、黒房の4色です。
このうち赤房の下に座っている審判が「時計係」です。
【 制限時間の計測 】
呼出(よびだし)が両力士の四股名(しこな)を呼び終えた時点から時間の計測を開始します。
そして制限時間(幕内の場合は4分)になると手を挙げます。
東西の土俵下にいる呼出はそれを見て立ち上がります。
そして仕切り直し後に塩を取りに来た力士に汗拭きタオルを渡します。
そこで力士は制限時間いっぱいであることを知ります。
つまり力士が制限時間いっぱいを確認するのは塩を取りに行った時に呼出が立っているかどうかということになります。
【 会場の雰囲気 】
しかし実際にはほとんどの幕内力士が経験上「そろそろ時間いっぱいだな」と感じます。
仕切りの動作もだいたいどの力士も同じくらいの時間なので、ほとんどが3回で制限時間を迎えます。
また相撲に詳しい観客が審判や呼出の所作を見て「時間いっぱいだ!」とつぶやき、周囲の観客がそれに合わせて声援をおくるので、自然と館内がどよめきます。
そういった全体の雰囲気で必然的に時間いっぱいであることが力士にもわかります。
力士の方も最後に塩を取りに行く前にまわしを強く叩いたり、顔を叩いたりするのが習慣になっている力士がいます。
これは制限時間の感覚を体で覚えているからです。
大相撲を会場で観戦するとよく分かりますが、制限時間を迎えるたびに会場全体に緊張感の大きな波が来るんです。
この緊張感の波が相撲観戦の醍醐味でもあります。
大相撲の制限時間は何分?
ところで大相撲の制限時間が何分かご存知ですか?
大相撲の制限時間は以下の通りです。
幕内力士:4分
十両力士:3分
幕下力士:2分
実はこの制限時間は昔からあったのではありません。
1928年の初場所において初めて制限時間が導入されました。
その時の制限時間は幕内10分、十両7分、幕下5分でした。
その後段階的に短縮され今の時間に決まったのは1950年の9月場所からです。
しかもこの制限時間の出来た理由が面白いです。
それはラジオ放送が開始されたからです。
つまり純粋に相撲の取り組みによるものではなくてラジオ放送という全く別の理由から制限時間が出来たんです。
それ以前は制限時間がなく、立ち会いは両者の呼吸が合うまで何度もやり直していました。
中には1時間以上もかかったという記録があります。
当の力士たちは気力が高まっていくのを肌で感じることが出来ますが、観客はそれが分かりません。
なので気が付いたら取り組みが始まっていたなんてことも多かったんです。
昔はおおらかな時代だったんですね。
ところがラジオ放送を開始するに当って、取り組みがいつ終わるのか分からないというのは放送上とてもまずい状況でした。
そこで立ち会いに制限時間を設けようという案が出された訳ですね。
これはとても大きな変化でした。
そしてその時間も少しずつ短くなって行きました。
これはもう時代の要請というべきものでしょう。
観客の立場としてはいつ取り組みが始まるのか分からないというよりも、少しずつ緊張感が高まって行き、時間制限と共に「さあ、はじまるぞ!」となったほうが分かりやすいですからね。
でないとおちおちお弁当も食べていられなくなります。
まとめ
本日は大相撲の制限時間を力士がどうやって察知しているのかについてお話ししました。
正確には赤い房の下にいる時計係の審判の合図が呼出に伝わり、塩を取りに行った時に呼出が立っていたら制限時間いっぱいでしたね。
でも力士は仕切りの回数や感覚でも「そろそろ時間だな!」と分かりますし、何よりも会場全体の雰囲気から分かることも多いんでした。
相撲を見るときの参考にしてくださいね。