成人式おめでとうございます。
式典にはお母様の振袖をお召しになるんですね。
素晴らしいです。
でも「母のお下がりは地味で嫌!」という娘さんが少なからずいらっしゃるのも事実です。
私は多くの娘さんにぜひともお母様のお下がりの振袖を着ていただきたいと考えております。
そこで本日は成人式にお母様の振袖を着ることの素晴らしさについてお話ししますね。
あなたの参考になれば幸いです。
成人式に母の振袖を着るのは古臭く感じられる?
来年成人式を迎える娘さんからウチの妻はこんな相談を受けました。
「成人式に母の振袖のお下がりを着る予定なのですが古臭く見られないか心配です。最近の振袖はつるつるした光沢のある生地が多いのに、私が着る予定の振袖は布感が強いんです。」
なるほど、これは深刻な問題ですね~!
でも心配ありませんよ。
これは娘さんの認識の問題なんです。
これに対して私の妻は次のようなアドバイスをしました。
とても素敵なお振袖ですね。
あなたが羨ましいです。
布の重みを感じますよ。
この振袖は成人式でもめったに見ることのない良いものですよ。
洋服で言えばヴィンテージもののドレスに相当するものです。
確かに古く見えるかも知れないけれども、古さと良さは両立し得るものなんです。
とても上品な振袖です。
この振袖が正統であり、今流行りの振袖の方が亜流なんです。
もしも今、このような重厚な生地で振袖を作ろうとしたら、とても高価なものになってしまいます。
最近の若い子が振袖を購入する時は色や絵柄ばかりを気にして、肝心の素材にはあまり関心がありません。
でも、本当はまず良い生地を選び、その次にデザインを選ぶべきなんです。
なぜなら生地の良さは光沢や動きとして現れるからです。
まず衣擦れの音が違います。
そして裾が風でめくれたりしません。
さらに暖かいです。
着心地と言うものは実際に着てみて動いてみて生活してみて始めて実感できるものなんです。
それはあなたの所作に現れます。
だからもしもあなたの振袖と他の安物の振袖が集まれば、風格の違いが出るのは明らかです。
もう1つ、振袖はおめでたい場において着るものです。
その振袖を見るとそのお嬢さんがどれくらい大切に育てられて来られたのかが分かるんです。
振袖が素敵なものであると、お嬢様の幸せや充実を願うご家族の想いが伝わってきます。
そして成人式のような晴れ着には、それに相応しい文様(図柄)があります。
この振袖に描かれているのは、蘭竹菊梅の四君子(しくんし)の文様です。
これは、蘭、竹、菊、梅の4種を、草木の中の君子(人格の特に優れたもの)として称えた言葉です。
それぞれの意味は忘れてしまったけれどもとても縁起の良いものですよ。
この着物を選んだのはおそらくお母さんのお母さん、つまりあなたのおばあさんですね。
あなたのおばあさんがお母さんを大切に育てて来られたのが分かります。
もしも振袖のイメージを変えたいのであれば帯揚げ、帯締めを変えるのがいいですよ。
雰囲気が豪華すぎて気が引けるというのであれば金糸よりも銀糸を多くあしらった帯に変えることでシックな感じを出すことが出来ます。
いずれにしてもこれだけの振袖に袖を通すことが出来るのはとても幸せなことだと思いますよ。
自信を持ってくださいね!
だいたい、このような内容の事をお話ししたんです。
そしたらその娘さんの表情がパッと明るくなって「ありがとうございます。古い振袖は嫌だと思っていましたが考えが変りました。この振袖で成人式に出ます!」ととても喜んでくれたそうなんです。
この話を聞いて感じたことは、「イマドキノ娘さんは着物の良さを知らないだけなんだ!」と言うことです。
妻が説明出来なかった四君子(しくんし)の文様の意味をここで説明しておきますね。
【 蘭 】
蘭は「善人蘭の如し」と言われるように、ほのかな気品を備えていると言う意味です。
【 竹 】
竹は虚なるに因りて益を受く。
中の空洞は無欲であることを表します。
また夏の陽射しにも負けずに悠然と立ち、不屈の精神と忍耐力を兼ね備えています。
【 菊 】
菊は身を軽くして気を益し人の寿を延ぶ。
霜の降る秋の寒さの中に鮮やかに咲きます。
安定、落ち着き、安心感を表します。
【 梅 】
梅は寒なれど秀、春来るを率先して報ず。
冬の終わりの一番寒い頃に咲き始め寒さに耐える姿です。
成人式に母の振袖を着るのは古い?お下がりが嫌な時はこれ!
お母様からのお下がりの振袖を娘さんが嫌がるのは、その着物の価値を知らないからなんですね。
娘さんはネットやチラシで目にする振袖が全てです。
なのでどんな振袖が良い品なのかを知りません。
どうしても生地よりもデザインに目が行ってしまいます。
しかし着物は生地が一番なんです。
そしてその生地に相応しいデザインを載せることが大事です。
ではそれを如何に伝えるかが問題となってきます。
先ほどの例で言えばお母様のお下がりの振袖を「何だか古臭い!」と感じていた娘さんでした。
ところが、着物の選び方やその着物自体に込められた意味を知って考えが180度変ってしまいましたね。
なので、娘さんに譲る振袖の歴史を語ってください。
その振袖は誰が選んだのか?
その振袖にどのような想いが込められているのか?
きっとその振袖に込められた意味を理解しその着物を大切にしてくださるに違いありません。
誰かに伝えてもらおう!
もう一つの問題が誰がそれを伝えるかです。
先ほどの例で言えば娘さんのお母様でもなければお婆様でもありません。
全く血のつながっていない、赤の他人が説明しました。
これが良かったのかも知れませんね。
親が言うよりも叔母(おば)であるとか、年上の従姉妹(いとこ)の言葉の方がすんなり受け入れられるのもです。
この「斜めの関係」が意外に重要なんです。
近くにそのような斜めの関係の方がおられたら、お願いしてみては如何でしょうか?
お婆様から受け継いだ着物をお母様、娘さん、そしてそのお子様まで伝えていくことが出来たら素晴らしいですね。
「ママ振り」という言葉もあります。
お母様から譲り受けた振袖を着るという意味です。
この言葉が出てきたということは、振袖のお下がりが見直されている証拠です。
振袖に限らず着物は世代を超えて受け継いで行くことの出来るものなんです。
ウチの娘も4年後に成人式ですが、妻の振袖を娘に贈ります。
その振袖を持って呉服店に行き、娘に合った帯を選んでもらう予定です。
気に入ってもらえると良いなあ~!
まとめ
本日は成人式にお母様の振袖を着ることの素晴らしさについてお話ししてきました。
一度お母様に聞いて見てください。
「ねぇ~!お母さんの振袖見せて~!」とね!
もし素敵な柄だったら「これ私にちょうだい!」と聞いてみてくださいね。
きっととても喜んでくださいますよ!
最後まで読んでくださりありがとうございます。