会社の人事異動って、突然やって来ますよね!

まるで雷にでも当たったように!

「そろそろ異動かなぁ?!」なんて予想できる場合には対策も立てられますが、突然となればアタフタしてしまいます。

そうならないためには、人事異動を断ったらどうなるかを知ることが大切です。

本日はこのテーマについてお話ししますね。

あなたの参考になれば幸いです。

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会社の人事異動を断ったらどうなるの?

基本的に会社の人事異動を断ることは出来ません。

会社は社員の人事権を持っています。

これは業務命令のなかでも最大級の権力になります。

「なぜ私なの?」と思う気持ち、よく分かります。

異動先が働きやすいと評判の良い所ならルンルン気分で受け入れることが出来ます。

しかし、そうではなくてキツイ、シンドイ、ヒドイと悪い噂(うわさ)の所に異動となれば、そりゃ「なんで私なの?、あの人が行けばいいじゃない!」って考えてしまいますよね。

「こんな人事を俺に押し付けやがって!」と怒り心頭に達するものです。

そして「この異動を断ったらどうなるんだろう?」と言う想いが頭の中を駆け巡るのも無理はありません。

会社の状況によりますが、結論から言うと一部の例外を除いて人事異動を断ることは出来ないんです!

一部の例外とは、多くの人が判断しても妥当と思われる理由です。

たとえは、要介護の親を抱えており、自分の異動により親の生活がたちゆかなくなるとか、障害を持った子どもの養育を自分がしなけれはならないといったケースです。

それ以外のたとえば「通勤に3時間かかる!」、「引っ越さなければならなくなる」などは理由として認められません。

ましてや、「あの支店は嫌だ!」、とか「自分だけが異動なんて納得出来ない!」とかは正当な理由として認められることはありません。

つまり、よっぽどな理由がない限り、異動の拒否は出来ないんです!

と、ここまでは会社の人事制度が整っている場合の原則論であって、日本にはこの原則に当てはまらない会社も実はたくさんあります。

しかし、経営者は人事権を自由自在に行使することを目標に社内制度を整えているのも事実です。

つまり多かれ少なかれ、会社の人事異動は、自由に断ることの出来るものから、絶対に従わなければならないものへと少しずつ変化しているのです。

なぜならば、経営者は自分の意のままに組織を動かすことが出来るようにしたいからです。

ですから、今あなたのいる会社がどのくらいの位置にいるのかを把握することがとても大事です。

周囲の人たちが異動を何人も断っているのに、「会社の命令は絶対だ!」と固く信じて不本意な異動を甘んじて受けると言うのも大人気ない話です。

信念を持ってそのようにしたいと異動を受けるのは自由ですが、もうちょっと融通を利かせてもバチは当たりません。

創業して10年くらいの会社ならば意外と人事異動の拒否は出来ちゃったりするものなんです。

会社を創立してから10年未満の会社は、「私はここの支店には行きたくない!」、「○○支店長の元では働きたくない!」と言う極めて個人的なワガママとも思えるような理由でも断ることが出来る場合があります。

それは何故でしょうか?

そのような会社は、まだ社内の人事体制が整っておらず、「社員に辞令を出した途端に辞められては困る!」からです。

それは今いる会社の状況をよーく観察すると分かってくるものです。

「誰それは、○○の異動を断ったらしい!」とか「△△さんは本社行を断ったんだってよ!」というような噂(うわさ)が、頻繁(ひんぱん)に流れているような会社ならば断れます。

一方、会社の人事制度がある程度出来上がってくると、会社はどんな不良社員でも自由に辞めさせることの出来る知恵を持つようになります。

そのような会社で、人事異動を断ってたった1人で戦うのはとても難しいです。

鬼に金棒と言いますが、金棒を三つも四つも持っている相手に素手で闘いを挑(いど)むようなものです。

新しい会社も10年を越える辺りから、このように社内の人事体制を整え始めます。

逆に言えば10年以上の歴史がありながら未だに人事異動を断る人の多い会社は、社内人事体制の整備が遅れていることになります。

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人事異動を断ったら会社はどう出る?

人事制度の整った会社において人事異動を断ったら、次に会社が何をしてくるかを理解しましょう。

それを理解することで、断った方が良いか、受けたほうが良いかの判断が出来るからです。

【 異動拒否理由を尋ねる 】

会社が先ず行なうのは、「異動を拒否する理由を尋ねること」です。

それはあなたの意向を尊重するという意味ではありません。

あなたの異動拒否理由を言わせる場を作っているんです。

人事異動の拒否では、本人に拒否したい理由を十分に言わせることが重要であるとされているからです。

会社側としては「本人とは十分に話し合ったが合意には至らなかった」という状況証拠が欲しいんです。

裁判で「会社は一方的に異動を押し付けてきた!」と言われないようにするための知恵でもあります。

これをしないと、裁判に発展した時に会社が不利になることをよく知っているからです。

そしてその「異動を拒否する理由」は会議にかけられ、妥当かどうかを検討します。

その場で「そんなのは異動を拒否する理由にはならん!」と即答しないのがミソです。

ですがあなたの意見を尊重してそのようにしているのではありません。

あくまでも「会社は社員にも意見を言わせる場を十分に持った」という状況を作りたいだけなんです。

この段階でほとんどの社員が諦めます。

なぜなら「会社は私の意見もよく聞いてくれた。でも会社の方針は変らなかった。仕方ない。」と思ってしまうんです。

つまり異動を受け入れるか、退職してしまいます。

まあ、これはこれで良いことですね。

「会社は自分の意見を尊重してくれた!」と思えるんですから。

【 人事異動再説得 】

その後、人事会議を開き「異動拒否理由の適否」が判定され、妥当と判断されたら異動はなくなります。

ところが、拒否理由に妥当性はないと判断されたら再度人事異動を受け入れるように説得されます。

普通の方は、この辺りで人事異動に従うのが良いです。

なぜならばここまではどこの会社にもある普通の光景で、ここを越えると、一気に厳しい精神状態に身を置かなければならないからです。

このあとの長い長い裁判までの道のりを闘い続ける覚悟を持てなければ、ここで諦めるのが賢(かしこい)選択です。

ここで人事異動を受け入れたら、余程ひどい会社でない限りその後の報復人事はないと言えます。

もしもここでも人事異動を拒否した場合には、会社は懲戒解雇を含めた手続きに入ります。

「人事異動を蹴っただけで、本当に会社を辞めさせられるの?」

はい、現実は非常に厳しいですが、2度目の説得を断ると、会社側も態度をガラッと変えてきます。

【 人事異動命令の妥当性 】

裁判では会社に人事異動命令権限のあるなしを尋ねます。

皆さんの職場に「就業規則」という規定が整備されていると思います。

これは社員の誰もが自由に閲覧できるように会社が整備しなければならないものの一つです。

この就業規則の人事の欄に、「人事異動によって他の勤務地、他の職務に就かせることがある」というような意味のことが明記されていればOKです。

あなたの職場のどこか片隅にでも、就業規則という書類があって、「人事異動がありますよ」と記載されており、「全ての従業員はこの就業規則を遵守すること」との記載があれば会社は人事命令権を持つことが出来、従業員もそれに同意しているとみなされます。

あなたがその内容を理解していようがいまいがそれは全く関係ありません。

そして、この人事異動が職権の乱用ではないことを示す必要があります。

具体的には次の三つです。

① 業務上の必要性があっての異動であること

② 不当な動機・目的をもってなされたものではないこと

③ 労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものではないこと



この三つを会社がクリアするのは簡単です。

労働力の適正配置、業務運営の円滑化など会社の合理的運営に寄与する点が認められる限りは会社の主張が通ります。

つまり、異動先での人員不足、それに対しての異動元での人員に余裕があるなどの状況を示し、「人事会議でよく話し合った結果であり、それがたまたま○○さんに該当しただけ」と主張すれば十分だからです。

【 人事異動命令拒否による懲戒解雇 】

先にあげた人事異動命令の妥当性が保証されない限りは人事異動命令を拒否しても懲戒解雇にはなりません。

つまり、就業規則に人事異動のことが記載されていない場合は、そもそも会社に人事異動命令権があると会社と従業員の双方が認識していないことになるので、懲戒解雇には出来ません。

しかし、上記のように就業規則への記載があり、業務上の必要性を会社が主張した場合は社員に勝ち目はありません。

そのような場合会社は業務命令違反としてその社員を懲戒解雇をすることが出来ます。

その場合でも異動を拒否した直後に懲戒解雇を言い渡すことは稀(まれ)です。

再度何度かの説得があった後に、「人事異動命令に従うように説得する努力を尽くしたが、人事異動命令に従う見込みがなかった!」といいう状況を作り出してから懲戒解雇に踏み切ります。

このようになる前にほとんどの方が「自主退職」という形で職場を去っていくのが普通です。

人事異動が出たときのあなたの動き方はこれ!

以上の事をふまえて、あなたに突然の人事異動が舞い降りてきた時は次のように判断してください。

①条件の良い異動は受け入れる

②条件の悪い異動は他の人が断っていたら断れる可能性がある

③会社の社内制度が整うほど断るのは難しくなる。

④2回目の異動の説得を受けて断ったら退職しかないと覚悟する

⑤新天地を見つける



まとめ

条件の良い異動ならば嬉しいものですが、そうでなければ嫌なものです。

でも新天地があなたの安住の地である可能性もあるんですよ。

最後に私の尊敬する大先輩よりいただいた貴重なお言葉を記してあなたのはなむけの言葉にします。

「会社の人事なんて所詮(しょせん)上司の好き嫌いですよ!」

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