アイビーリーグってご存知ですか?
アイビーリーグを目指して今世界中から優秀な若者がどんどん集まっているんです。
アイビーリーグが若者を魅了する理由の一つがその校風です。
本日はアイビーリーグの魅力についてお話ししますね。
アイビーリーグの校風やスクールカラーは何?
アイビー・リーグとはアメリカ独立戦争の頃からあるアメリカ北東部の名門私立大学群8校のことです。
・ブラウン大学
・コロンビア大学
・コーネル大学
・ダートマス大学
・ハーバード大学
・ペンシルベニア大学
・プリンストン大学
・イェール大学
独立戦争とはアメリカ植民地のイギリス人がイギリス本国の植民地政策に反対して起こした戦争のことで、1775年から1783年まで続きました。った
開戦の翌1776年にはトーマス・ジェファーソンにより「アメリカ合衆国独立」が宣言されています。
独立の宣言はしたものの、実際には相当苦しい戦いでした。
当時イギリス本国は大英帝国と言われ、戦力・国力ともに圧倒的に優位な立場にあったからです。
ところが世界情勢の変化してイギリス本国と戦っていたフランス、スペイン、オランダなどが続々とアメリカ側を応援するようになり形勢が逆転します。
そして1783年9月のパリ条約でアメリカは正式にアメリカ合衆国として独立を勝ち取りました。
しかしアメリカ建国はトーマス・ジェファーソンのアメリカ合衆国独立宣言文を公布した日であり、1776年7月4日です。
アイビー・リーグの大学は、コーネル大学を除く全ての大学が独立戦争以前の創立です。
創立時の学生はほとんど全てが白人の男子で、プロテスタントの裕福な家庭が子弟の教育を行うために設立した大学です。
第二次世界大戦以降は男女共学になり、白人以外にも広く門戸を開きました。
今では中国や韓国、インドをはじめとしてアジアからも多くの若者に人気のある大学群です。
日本人やアジアではハーバード大学が特に有名で人気がありますが、アメリカの高校生は大学の知名度よりも自分のスタイルに合うかどうかで、進学先を決める傾向にあります。
大学はそれぞれ強烈な個性を持っています。
本日はそれぞれの大学の校風についてお話ししてみたいと思います。
アイビーリーグ各大学の特色や雰囲気を比較!
ではさっそく、それぞれの大学の所在地やスクールカラー、特色、雰囲気、強い学部、有名な卒業生などを見ていきましょう。
【 ブラウン大学 】
ロードアイランド州の州都プロビデンスに立地。
1764年創立。
スクールカラーはブラウン。
リベラル・アーツ教育を重視し、ビジネススクールやロー・スクールなどの専門大学院は設置していません。
リベラル・アーツ教育とは「社会人としての基礎力を養うための教育」という意味です。
学部生の満足度では全米1位。
ブラウン・カリキュラムと呼ばれる独自の教育課程を導入しており、全課目で成績あり・成績無しを選択できます。
教養科目や必修科目などの履修規定がほとんど決められていないことが最大の特徴です。
つまり最低条件をクリアすれば、学生は自由に好きな科目を学ぶことが出来るんです。
決まっているのは卒業までに30科目以上を履修することや、ライティングのクラスを1,2年次と3,4年次中にそれぞれ1クラス以上履修することだけです。
もともと自由な雰囲気のアメリカの大学ですが、ブラウン大学は特に学生の自主性が尊重されているので、日本からの留学生は戸惑う人が多いです。
ライティングとは「書くこと」です。
「ライティング」が科目として必修になっているのは、「書く」ことが学問の最重要事項と考えているからです。
【 コロンビア大学 】
ニューヨーク州ニューヨーク市のハドソン川沿いに立地。
創立は1754年で、アメリカの大学で5番目に古い大学として知られています。
スクールカラーはコロンビア・ブルーとホワイト。
世界的な研究大学として有名で、特に医学・自然科学分野においてノーベル賞受賞者を全米で1番多く輩出しています。
ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士もここの卒業生です。
留学生を積極的に入学させており、その比率は30%を超えており、最も国際化の進んだ大学です。
留学生の出身国上位は、中国、韓国をはじめとするアジア圏、そしてインドです。
大学院生の比率が最も高く、学部生4割に対し院生の比率は6割を超えています。
学生数は約27,000人在籍し、男女比は、ほぼ同数です。
政財界との結びつきも強い大学です。
この大学の卒業生で有名なのが前大統領バラク・オバマ氏です。
ピューリッツアー賞選考委員会が同校ジャーナリズム大学院に設置されています。
この賞はアメリカ合衆国における新聞、雑誌、オンライン上の報道、文学、作曲の功績に対して授与される賞のことです。
音楽学部はジュリアード音楽院と提携しているので、ジュリアードの授業や学位も取得することが出来ます。
歌手の宇多田ヒカルさんも中退ですがコロンビア大学で学んでいました。
【 コーネル大学 】
ニューヨーク州中部の小都市イサカに立地。
1865年創立。
スクールカラーはカーネリアン・レッド。
アイビー・リーグ8校のうち、唯一南北戦争後に創立された大学です。
コーネル大学で最も評判のある学部といえば、獣医学、農学などの分野です。
その他にもロースクールやホテルスクールも高い評価を受けています。
キャンパスは氷河の浸食によって形成された美しい丘陵地にあり、農場や牧場に囲まれています。
また、世界的にも珍しい半官半民の大学です。
アイビー・リーグの中でも特に卒業要件が厳しいことで有名です。
一方受験者数はアイビー・リーグの中で最も多いです。
コーネル大学の図書館は全米トップレベルです。
まず蔵書量が全米で11位です。
そして図書館の内装は、高い天井まで梯子(はしご)で登って行く様な造りになっています。
まるでハリーポッターの舞台のようです。
また大学新聞の発祥の地であり、ジャーナリズムにも強い大学です。
また東アジアの言語プログラムが有名です。
【 ダートマス大学 】
ニューハンプシャー州西部の小さな町ハノーバーに立地。
1769年創立。
スクールカラーはグリーン(ダートマス・グリーン)。
歴史的経緯から「カレッジ」を冠していますが総合大学 (university)です。
学生数は学部・大学院の合計で6000名弱と、アイビー・リーグの中で最も少ない規模です。
教育方針は学部生を中心とした伝統的な少人数のリベラル・アーツ教育です。
ここのタック経営大学院は全米最古のビジネス・スクールです。
工学大学院や医学大学院といった、歴史のある大学院を抱えているため、米国内では他のアイビーリーグ校同様に名門校として高く評価されています。
ダートマス大学は、多くの日本人が耳にしたことのない大学です。
日本での知名度は低いですが、その卒業生たちの中には政財界でなど様々な分野で活躍しているエリートたちが多くいるんです。
スキーやアイスホッケーなどでオリンピック選手も多数輩出しています。
アメリカ北東部は冬の寒さが厳しいところです。
そんな中、ウィンターカーニバルでは「人間犬ぞり」をしたり、凍った池に穴を開けて飛び込んだりと独特なイベントも開かれています。
このクレイジーなイベントはアイビーリーグの他の大学でもそれぞれあり、寒くて長い冬をいかに楽しく過ごすかをそれぞれ工夫しているんですね。
【 ハーバード大学 】
マサチューセッツ州ボストンとチャールズ川をはさんだ対岸の街ケンブリッジに立地。
アカデミックな雰囲気の漂う落ち着いた学園町です。
カフェや映画館などもたくさんあります。
1636年に創立の全米最古の大学です。
これって江戸時代の初期ですよ!
スクールカラーはクリムゾン(濃く明るい赤色)。
学生数は学部生は約7,000人、大学院生が約15,000人です。
ビジネススクール(HBS)、ロースクール(HLS)、ケネディスクールなど専門職大学院が有名です。
合格率はプリンストン大学やコロンビア大学と並んでアイビー・リーグで最も低い。
ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)、マーク・ザッカーバーグ(フェイスブック創業者)等多くの著名人を輩出しているほか、ノーベル賞受賞者輩出数では世界一位です。
日本ではNHKでマイケル・サンデル教授の「ハーバード白熱教室」という番組が放送されて人気を博しました。
サンデル教授の書籍は日本でもたくさん翻訳されているので、一度は読んだことのある方も多いはず。
ところでハーバード大学の学生ってどんなイメージですか?
「全てにおいて完璧な人!」ってイメージありませんか?
しかしハーバード大学で学ぶ学部生の約80パーセントがカウンセリングを受けているというデータがあります。
「えっ?みんな精神的に病んでいるの?」
いえいえ、そうではありません。
これはハーバード大に限ったことではありません。
アメリカには「自分の話を聞いて欲しい!」くらいのレベルでも学生の保険対応内でカウンセリングを受ける文化が広く根付いています。
実際キャンパス内には「弱さがあることは決して恥ずかしいことではない!」とか「自分自身ですべて出来る人は一人もいない!」とか「大丈夫じゃないことがあっても、大丈夫!」などと書かれたポスターがあちこちに貼ってあります。
また教授も積極的にカウンセリングを勧めます。
・あなたは、完璧じゃなくていい!
・自分に自信が持てない時があってもいい!
・大丈夫じゃない時があってもいい!
完璧に見えていた周りの大学生が、実は皆弱さを抱えていたと知って驚く日本人留学生の声をよく聞きます。
本当の「強さ」とは弱さをきちんと認めて、助けを求めることなのかも知れません。
【 プリンストン大学 】
ニュージャージー州中央部のプリンストンに立地。
キャンパス内にはレガッタ競技ができるほどの大きな湖、広大な草原があります。
ゴシック様式やコロニアル様式の学舎や学生寮が立ち並び、歴史を感じさせます。
1746年創立。
スクールカラーはオレンジとブラック。
学生数は学部生が約4800名で、大学院生は約2000名です。
総合大学ですが、ブラウン大学同様のリベラル・アーツ教育の伝統を守っています。
そのためメディカルスクール、ロースクール、ビジネススクールなどの専門職大学院を設置していません。
プリンストン大学は、大学院生より学部生への教育に力を入れているのが特徴です。
大学1、2年次から少人数制のクラス編成で、講義と言うよりはディスカッションがメインです。
他の大学からの編入生を受け入れておらず、新規に入学するしかありません。
Amazon創業者のジェフ・ベゾスやGoogle会長のエリック・シュミットが卒業生です。
特に物理・数学の分野において、世界最高峰のレベルを誇っています。
数学界で長年未解決だったフェルマーの最終定理を証明したことで有名なアンドリュー・ワイルズ博士もこの大学で講義しました。
相対性理論のアルバート・アインシュタイン博士も、プリンストン大学の近くにあるプリンストン高等学術研究所で研究を行っていました。
アインシュタインが実際に住んでいた家がプリンストン大学のすぐそばにあり、今でも普通の家屋として使用されています。
【 ペンシルベニア大学 】
ペンシルベニア州の最大都市フィラデルフィアに立地。
1740年創立。スクールカラーはレッドとブルー。
全米で初めて総合大学 (University) の名を冠された大学です。
同学のビジネス・スクールであるウォートン・スクールは金融・会計学の分野では高い評価を誇っています。
創立者のベンジャミン・フランクリンの理念から実学が重視されています。
アイビーリーグの中でも特に裕福な家庭の卒業生が多いことでも知られています。
最近の著名な卒業生はドナルド・トランプ第45代アメリカ合衆国大統領です。
トランプ大統領と言えば大統領選挙の時に赤いネクタイが印象的でしたが最近はブルーです。
トランプ大統領がペンシルベニア大学出身と言う事を考えれば、スクールカラーでもあり、それは当然の選択ですね。
しかし赤という色には「情熱、エネルギー、リーダーシップ」といったメッセージを発する効果があるとされています。
トランプ大統領本人が意識しているのかは分かりませんが、多くの人に「強いアメリカ」という印象を植え付ける上で一役買っていることは間違いありません。
あの黄熱病の研究で有名になった野口英世博士や、2010年にノーベル化学賞を受賞した根岸英一氏もペンシルベニア大学出身です。
【 イェール大学 】
コネチカット州南部の都市ニューヘイブンの中心部に立地。
コネチカット州と聞いてもピンと来ない人もいるかと思いますが、それも当然と言えば当然です。
コネチカット州はアメリカで4番目に小さな州なんです。
日本で言えば新潟県と同じくらいの広さです。
1701年創立。
総学生数は11,000人を超え、その内6,200人以上が大学院に在籍しています。
スクールカラーはアジュールという青色です。
イェール・ブルーとも言います。
法学・政治学分野の教育・研究に定評があり、全米大学院ランキングロースクール部門では長年1位を維持しています。
演劇大学院でも知られ、数多くのアカデミー賞受賞者を輩出しています。
女優のメリル・ストリープやジョディ・フォスターなどが卒業生です。
ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ等、政治家も多く輩出しており、校風は保守的と言われています。
まとめ
本日はアイビー・リーグの各大学の校風や特色、雰囲気といった面について詳しくお話しました。
歴史の古い大学ばかりですが、どの大学もとても個性が強いですよね。
伝統を守りながら改革を行う、この二つの矛盾性のせめぎあいの中で存立しているのがアイビーリーグの各大学なんですね。
これだけバラエティに富んでいるからこそ、いろいろな個性を持つ学生にそれぞれピッタリの大学が見つかるんですね。
日本では学力の高さばかりがクローズアップされてしまいますが、アメリカの大学は学力プラス人間性です。
どんなに学力が高くても人間的な魅力に欠ける学生は入学させてくれません。
とは言っても気になるのが各大学の序列です。
アイビーリーグ内のどの大学が最高位に位置しているのでしょうか?
アイビーリーグ内の序列に関してはこちらの記事が参考になります。
アイビーリーグとは?序列はどうなっている?日本でいうとどこ?